施設スタッフ・ご利用者さんを囲んで、あそびのむし贈呈式(東京おもちゃ美術館)

すべての子どもへ、好きな遊びで夢中になる時間を届けたい。
そんな思いで行われたあそびのむし第三弾の配布事業では、全国120カ所の施設へ、42種類のおもちゃが寄贈されました。

2026年4月11日、東京おもちゃ美術館で行われた贈呈式では、寄贈先施設のスタッフの方々から、施設での取り組みの様子や、おもちゃを使ってみた感想なども語られました。
そんな贈呈式の模様をレポートします。

色とりどりのおもちゃが飾られた会場で行われた贈呈式には、寄贈先施設のスタッフの皆さんに加え、施設を利用されているお子さんとそのご家族、難病児の遊び支援に関わってきたおもちゃコンサルタントなど50名以上が集まりました。

今回の贈呈式に参加くださったのは、東京にある3つの施設の皆さんです。

Seamless Support Labs ライズ・スプレッドスタッフの皆さん、芸術と遊び創造協会・多田千尋理事長

ICOPAキッズ西落合スタッフの皆さん、ご利用者とご家族の皆さん、日本財団・山下大輔さん

訪問看護ステーションべすと内マルルの皆さん、ご利用者とご家族の皆さん、東京おもちゃ美術館・山田心館長

和やかな雰囲気のなか、今回寄贈されたおもちゃについて、遊びを広げるポイントや、開発の経緯などが紹介されました。

まずは、病児の遊び支援に携わるおもちゃコンサルタント、髙橋朝子さんと福田貴美子さんの登場です。
「シャラシャラリング」は、チューブに通して移動させると、キラキラ輝きながら回ります。リングは腕やシフォン布に通すこともできます。そのほか、どんなもので回せるかな?見つけてみると楽しいですね。

また、大きなシフォン布の端をもって、頭の上からふわっとかぶせてみると、カラフルなトンネルの中に入ったよう。参加した子どもたちも布越しの景色を眺めて楽しそうでした。

続いて、おもちゃショップ・アプティの山田喜美江さんが、このセットのためにおもちゃ作家の方と一緒に開発したオリジナルおもちゃを紹介してくれました。

「マジカルハンドルカードオルゴール」は、好きな曲のカードを入れてハンドルを回すとメロディが流れます。ハンドルをどちらに回してもメロディが流れるので、「できた」という達成感を味わうことができます。

ヒノキでできたフレームに木の枝が並んでいる「かぜのおと」は、森の風景を切り取ったようです。左右に振ったり、バチで叩いたりすると、風が木々を揺らすようなやさしい音がします。「室内でも自然を感じられるように」という、おもちゃに込められた思いを話してくれました。

後半のトークセッションでは、それぞれの施設の代表者から、施設での取り組みの様子や、おもちゃを使ってみた感想などが語られました。

Seamless Support Labs ライズ・スプレッド 施設長 田村涼香さん

「私たちの施設は、”シームレス”の名前の通り、切れ目のない支援を目指し、児童発達支援、放課後等デイサービス、生活介護や機能訓練が一つの施設で行われています。
はじめてセットが届いた時には、箱の大きさ、おもちゃの数の多さにびっくりしました。箱を開けた時の子どもたちの、嬉しそうな笑顔は忘れられません。

今回のセットに入っている、木の箱のようなドラム『かんぽんぽん』。 

あるお子さんに、できないかなと思いながらも渡してみたら、自分でバチを取って鳴らしたんです。私たちは療育=教える、身に着けさせるという意識を持ってしまいがちです。でも、子どもが本来持っている遊ぶ力や、楽しむ力を引き出してあげるのが大事かなと思いました。
今後は研修を通して、私たちも遊ぶ楽しさを学んでいきたいです。」

ICOPAキッズ西落合 管理者 植松朋子さん

「私たちの施設は、”遊び、学び、気づきの場”となることを目指しています。

遊びはこどもにとっていちばん。楽しいことが何より大切だと思います。その点であそびのむしの取り組みに共感し、今回寄贈を受けることができて、とても嬉しく思っています。

届いたおもちゃを使って、子どもに『こう遊ぶんだよ』と教えるつもりが、子どもの方は思いもよらない遊び方をすることもあります。

例えば『カーブドミノ』は、ブロックを倒すのが楽しいかなと思ったら、触った感触を楽しんでいました。子どもたちはやっぱり遊びの天才ですね。こちらが逆に教えられることも多いです。」

マルル 看護師/おもちゃコンサルタント 村上優香さん

「私自身、障害児の親でもあります。子どもとどうやって遊べばいいんだろうと悩んで、おもちゃコンサルタントの資格を取得しました。学んだことをもとに子どもと遊ぶうちに自分も楽しくなってきて、訪問看護で接する子どもたちにも遊びの楽しさを伝えたいと思うようになりました。

今回のセットの中のおもちゃでは、『かぜのおと』が気に入っています。

あるお子さんは、押すと音楽が鳴るおもちゃにはまっていたのですが、繰り返し鳴らされる電子音に、お母さんがちょっと参ってしまっていたんです。その子に『かぜのおと』を渡してみたところ、木のやさしい音も気に入ってくれました。何よりお母さんが、心地よい音にすごく感動してくれたんです。

また、フレームになっているので、親子で向かい合って遊べるところもいいと思います。

フレーム越しに絵本を見せて『何かな?』という遊びは、ふだんあまり集中してくれない子でも興味をもってじっと見てくれていました。」

セットの箱詰めと発送を担当した、板橋区立小茂根福祉園の佐藤菜月さんも障害のある皆さんの作業の様子を話してくださいました。

「おもちゃの箱詰めは、関われる方が多く、希望者も多い人気の仕事です。やはり、おもちゃってみんなわくわくするのですね。
もちろん仕事として関わっているので、皆さん真剣に、間違いがないか、箱やおもちゃに傷がないかなどを確認しながら作業をしています。
『壊れないように、重いものを下に入れないと』と声を掛け合ったりして、大切に届けるという意義を感じているようです」

今回の贈呈式では、あそびのむしに関わるさまざまな人の声が聞け、改めて遊びの大切さやおもちゃの力を感じました。

会の終わりに、日本財団であそびのむし事業を担当されている山下大輔さんは
「皆さんの声を聞いて、改めて遊び支援の大切さを感じました。あそびに夢中になる人が『あそびのむし』ならば、私達は『難病児支援のむし』になっていきたいです。」
と語っていました。

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