おもちゃの力に、子どもたちと一緒にワクワク -放課後等デイサービスたんぽぽ

2019年から始まったあそびのむしのおもちゃ寄贈事業では、おもちゃセットの寄贈施設は全国で360施設となりました。
それぞれの施設はどのようにセットを活用し、どんな思いで日々、子どもたちに向き合っているのでしょうか

今回は、第三弾の寄贈施設である、放課後等デイサービスたんぽぽにお邪魔して、お話を伺いました。

横浜市旭区にある、左近山特別支援学校内に併設された放課後等デイサービスたんぽぽは、横浜市教育委員会のモデル事業として2019年にオープンしました。

特別支援学校と渡り廊下でつながっているという立地のたんぽぽ。
送迎に時間がかからず、天候による影響もないため、子どもたちの負担が少ないのが特長だとスタッフの皆さんは語ります。また、看護師や保育士であるスタッフに加え、支援学校の先生たちとさまざまな職種で連携を取りながら、子どもたちに寄り添っている様子が伺えました。

そんなたんぽぽのスタッフの皆さんに、あそびのむしセット寄贈のきっかけや、子どもたちの様子などについて、お話を伺いました。

あそびのむしに応募したきっかけは?

中川さん:

私の子どもも重心医ケア者なのですが、昨年の日本小児在宅医学会に子どもと一緒に出掛けたとき、あそびのむしのブースを見かけました。見たこともないカラフルなおもちゃがたくさん並んでいて、興味をひかれました。

私はそれまで「おもちゃ」と言えばリハビリの中で使われる、発達を促すためのツールという概念がありました。自分の子どもがおもちゃで遊べるとは思っていなかったんです。
でも、ブースにいた東京おもちゃ美術館の皆さんが、子どもにいろいろなおもちゃを見せてくれました。その動きをじっと目で追っているのを見て「あ、興味があるんだ。これも遊びなんだ」とわかったんです。

驚きと同時に、自分が働くこの施設の子どもたちのことも頭に浮かびました。「このおもちゃがあったら、こんな風に遊べるんじゃないか」と考えて、わくわくしてきたんです。

ちょうどあそびのむし第三弾の寄贈先を募集していると教えていただいて、応募したいと思いました。

おもちゃセットが届いた時、スタッフの皆さんの様子は?

おもちゃ到着後、すぐにでも見たいのを我慢して、「子どもたちと一緒に箱を開けよう」と約束していたスタッフの皆さん。でもその日まで我慢できなくて、先にちらっと見てしまった方もいたそうです!
いよいよ箱を開けたときは、「これなに?」「見て見てー!」と、スタッフの方が大盛り上がりで、まさに「おもちゃ箱を開けた」ようなワクワク感だったとのこと。

その後、その日来ている子どもたちに合いそうなおもちゃを選んで「これで遊んでみる?」と見せたら、子どもたちが遊び始めた姿を見たときは嬉しかったと、スタッフの皆さんは語りました。

藤原さん:
一目見て、おしゃれなおもちゃだなと驚きました。色も音もきれいだし、動きも予想できないものばかりでした。

片岡さん:
見ただけでは遊び方がわからなくて、「これなんだろう」と言いながら、一つ一つ開けて試していくのが楽しかったですね。思わず夢中になってしまいました。

今村さん:
大人も楽しめるおもちゃだと思いました。大人が全力で楽しんでないと、子どもも楽しめないと思うので、私たちも夢中で遊んでいる姿が見せられるのはいいことだと思います。
また、木のおもちゃはいいですね。温もりを感じるし、棚の中にあるのを見ていても何となくほっとします。

皆さんの“推しおもちゃ”を教えてください!

片岡さん:
シャラシャラリングです。動きが不思議で、しばらく一人で何度も遊んでしまいました。
光が反射してキラキラするので、子どもたちにも大人気です。

今村さん:
かんぽんぽんは、最初はどうやって遊ぶのかわかりませんでした。バチが本体から抜けるのに気づいて「叩くんだ!」とわかったんです。六面すべて違うし、叩く場所によって音が変わるし、発見が多くて、一つでいろんなことが楽しめますね。

菅野さん:
私はグロッケンが好きです。今まで聞いたことがないくらいきれいな音ですよね。
バチが2種類あって、音が違うのも面白いですね。
小ぶりなサイズで、横になっているお子さんに見せてあげられるのもいいと思います。

藤原さん:
どんぐりは、ゆるキャラみたいな見た目でかわいいし、ゆっくりした動きと心地よい音がいいですね。
坂を下りて行って、最後にコテッと転ぶのもかわいいです。

中川さん:
私はやはり、最初にあそびのむしのことを知った時に出会ったスピンアゲインです。
私の子どものように、ストレッチャーにのって天井を見ている子どもにとっては、「ディスクが自分の方に迫ってくるのを見ることも、ドキドキする遊びなんだ」と気づいたことが、衝撃的でした。あのときの「遊べるんだ!」という感覚は忘れられないです。

また、他のスタッフさんで、「カーブドミノが好き」という方もいるのだとか。ドミノを倒して、玉を引っ張って起こして、という動きをじっーと見ているお子さんがいたそうです。色の名前を言いながら起こしていったり、アイドルの推し色に対応させて盛り上がっているお子さんもいるとのことでした。

あそびのむしのおもちゃがやって来て、変わったことはありますか?

今村さん:
これまで音楽を取り入れるときは、YouTubeやボタンを押すとメロディーの出るおもちゃで、どうしても受動的になってしまいがちでした。
でも、あそびのむしの音の出るおもちゃは、本人が主体的に音を出せるのがいいなと思っています。

また、音のバリエーションが多いですよね。木琴に鉄琴、「かぜのおと」も素朴な木の音がします。さまざまな音があるので、「金属音が好きじゃないお子さんでも、木の音だったら反応がいい」など、今まで見えなかった好き嫌いを発見するきっかけにもなりました。

片岡さん:
楽器を使う時は、曲を演奏しようとしてしまいがちですが、セットの中の音の出るおもちゃなら楽譜の通りでなくてもいい音がするので、技術に関係なく、音を遊びとして楽しめるのがいいですね。

菅野さん:
あるお子さんの前で「森のメロディーカー」を動かして見せてあげたことがありました。

スピードを速くしたり、遅くしたりすると、流れるメロディーの速さも変わります。それが面白いらしく笑っていたのですが、やがて車にを触ろうと手を伸ばしたのを見て、驚きました。今までそんなことをしたことがなかったので、「おもちゃの力はすごい」と感じました。

藤原さん:
おもちゃが目の前に来ると、目線が動くんですよね。
これからも一人ひとりにあわせて、いろんな遊び方を考えてみたいです。

他にも、「カエルさんジャンプ」と他のおもちゃと組み合わせたゲームを自分で考えて、スタッフと真剣勝負をしたお子さんのエピソードも伺いました。
疾患により指の力が弱いお子さんですが、どうやったらうまくジャンプさせられるか、自分なりに一生懸命考えて挑戦していたそうです。

その次の週には、机の上からマットの上に移して遊んだのですが、そこでは弾く力加減が変わるので、また試行錯誤していました。そうやって考えて試している様子を見て、「こんなことができたんだ」と、スタッフの方は驚いたそうです。また、「こういうことを積み重ねて成長していくんだな」と嬉しくなったと語ってくださいました。

おもちゃが届いた時のワクワク感や、好きなおもちゃのことを楽しそうに語ってくださったスタッフの皆さん。あそびのむしのおもちゃを楽しんでくださっている様子に、私たちも嬉しくなりました。

あそびのむしのおもちゃは、子どもたちはもちろん、家族の方やスタッフの方など、大人も遊びに夢中になることを願って選ばれたおもちゃです。大人の「楽しい」という気持ちが子どもたちの安心や笑顔につながっていくのではないでしょうか。

自分たちもワクワクと楽しんでいるスタッフの皆さんとともに、たんぽぽの子どもたちも、たくさんの笑顔や「できた」という喜びを積み重ねていけるのではないかと感じました。