ーSeamless Support Labs ライズ・スプレッド(東京都)
2019年から始まったあそびのむしのおもちゃ寄贈事業では、おもちゃセットの寄贈施設は全国で360施設となりました。
それぞれの施設はどのようにセットを活用し、どんな思いで日々、子どもたちに向き合っているのでしょうか
今回は、第三弾で寄贈されたセットを使用しているSeamless Support Labs (シームレス サポート ラボ)ライズ・スプレッドにお邪魔して、お話を伺いました。
原宿のど真ん中に溶け込む施設
施設は、個性的なセレクトショップやカフェが軒を連ねる東京・原宿の旧渋谷川遊歩道沿いにあります。
それだけでも驚きますが、建物の前まで来てまたびっくり。
ここはガラス張りのおしゃれなカフェ?


ここは施設1階のカフェスペース、D&I原宿です。施設の利用者だけでなく、どなたでも利用することができます。
ランチタイムには近隣にお勤めの方や、原宿に遊びに来た方、地域にお住いの方などでにぎわうそうです。


原宿のど真ん中という立地に、誰でも入れる居心地のよいカフェ。障害者のための施設という思い込みを覆されるようなSeamless Support Labs (シームレス サポート ラボ)ライズ・スプレッドは渋谷区立の施設で、指定管理者となっているのが社会福祉法人睦月会です。
単に運営だけでなく、施設の設計から手掛けた睦月会理事長・綿祐二さんに、施設の特長や設計に込められた思いをお聞きしました。

社会福祉法人睦月会理事長・日本福祉大学教授の綿祐二さん
設計・デザインで心がけた「シームレス」
Seamless Support Labsは、児童発達支援・放課後等デイサービス、生活介護、短期入所、機能訓練という5つの機能を持つ施設です。未就学期から学齢期、青年期、中年期、高齢期と、各ライフステージで切れ目のない支援をめざして「シームレス」という名が掲げられています。
また、施設名や建物の看板・サインなどには、どこにも「福祉」といった言葉が使われていません。これは、「福祉」という言葉自体が壁になり、障害のある人、ない人を区別するような意識を作ってしまうという考えからだそうです。
壁をなくし、障害のある人もない人も地域の中で自然と交じりあえるように。
そんな思いを象徴するのが、カフェスペースD&I原宿です。
D&Iとは「Diversity(多様性) & Inclusion(包括)」を意味しています。
カフェを訪れる人の中には、ここが施設の一部だと知らない人も多いそうです。近くの席で施設利用者が昼食をとっていたり、働く障害者の方を見て、初めて気が付くのだとか。
さまざまな方が自然に共生できる場として、理想的な在り方ではないでしょうか。

カフェの一角に置かれているピアノも、誰でも演奏OK
保育園の子どもたちと共有の園庭
そんな「壁がなく、自然と交じりあえるように」という思いを表すもう一つの場所が、園庭です。


デッキから続く、青々とした芝生の園庭。すぐ左手に見える茶色い柱の建物は、区立保育園です。この園庭は保育園と共有で、二つの施設の子ども同士が一緒に遊ぶこともあるのだとか。はじめは利用者のお子さんの使っている人工呼吸器などを不思議そうに見ていた保育園の子どもたちも、すぐに慣れた様子で一緒に遊び始めるそうです。
小さな頃から、障害のある人と当たり前のように一緒に過ごすことで、心の中の壁は取り払われていくのではないかと感じました。
その他、特別に見学させていただいた施設内には、スヌーズレンルーム、屋内プール、音楽ホールなどが備えられ、『重心障害児/者が幸せになれる施設を作りたかった』という綿さんの思いを随所に感じることができました
見学に伺った5月9日には、あそびのむしおもちゃセットのお披露目を兼ねて、利用者のお子さんだけでなく、誰でも参加できる体験会が行われていました。


誰でも参加できるこのイベントにも、障害の有無にかかわらず、一緒に幸せに過ごせる社会を作っていきたいという思いが反映されているようでした。
あそびのむしのおもちゃセットが、Seamless Support Labsの取り組みの一助になれば、嬉しい限りです。