東京おもちゃ美術館と、おもちゃの専門家たちによって厳選された42点のおもちゃが、専用ボックス2箱にぎっしり詰められた「あそびのむしセット」第3弾。2026年1月より発送作業が始まり、全国120カ所へ寄贈されます。
このセットが各施設に届く前に大切な役割を果たしているのが、東京都板橋区にある小茂根福祉園の皆さんです。
こちらでは知的障害のある方たちによって、おもちゃを箱に詰め、発送する作業が行われています。
作業も終盤の3月初旬、小茂根福祉園を訪問して、作業の様子を見学させていただきました。
できぱき、和やかに進むチームでの作業
小茂根福祉園は知的障害のある方たちの生活と就労を支援する、板橋区立の施設です。
日当たりのいい2階ホールの中で、通所利用者の皆さんがさまざまな作業に取り組んでいました。
その一角で、あそびのむしセットの箱詰め作業も行われています。日替わりで、3~4名が箱詰めを担当するそうですが、この日、鮮やかな赤とオレンジの箱のそばで作業を行っていたのは、りょうこさん、はなこさん、ささもとさんの3名でした。

この日の作業を担当していた、ささもとさん、はなこさん、りょうこさん
オレンジ色の箱の中にセットするおもちゃには、1~17までの番号がついています。
1つずつ取って、机の上に置いていきます。
「15番がないよ」
机の上のおもちゃを番号順に並べながら、他のメンバーに声をかけているのはりょうこさんです。
番号を見ながら手早く並べていきます。
「そうか」
「私持ってるよ」
ささもとさんとはなこさんも、笑顔で答えながらおもちゃを集めています。


この日の作業を担当していた、ささもとさん、はなこさん、りょうこさん

番号のシールで入れるおもちゃを管理しています
並べ終わると、支援スタッフの方が一覧表と照らし合わせてチェックします。
入れ忘れや重複がないよう、別のスタッフによって2度チェックした後、箱の中に詰めていきます。
箱に詰める順番は、大きいもの、重いものから。
おもちゃを渡す人、箱に入れる人、蓋を押さえる人と、声を掛け合いながら、チームワークよく作業が進みます。
すべてのおもちゃを入れ終えたら、緩衝材を入れて蓋をテープで止めます。
あっというまに一箱の箱詰めが完成しました。

箱詰めが完了!
障害のある方に作業をお願いする意義
小茂根福祉園の皆さんに箱詰め作業を担当いただくのは、2019年、第1弾の寄贈事業のときからの恒例となっています。
実は当初は、「あそびのむし」セット利用者である難病児のお父さん、お母さんたちに関わってもらうという案もあったそうです。「あそびのむし」セットは、難病児の家族の声から生まれ、意見を聞きながら作り上げていったので、最後まで皆さんと一緒に作りたいという思いからでした。
ですが、日夜ケアに携わるお父さん・お母さんたちには時間を作っていただくのが難しく、それならば「地域で働きながら暮らす障害者の方たちに依頼できないか」と考えたことがきっかけでした。
小茂根福祉園での取り組みについて、サービス管理責任者である白石善太さんに伺いました。

白石さん
「小茂根福祉園に通所されているのは区内在住の方たちです。月曜から金曜まで毎日、地下鉄やバスなどで通所し、その人のできること、得意なことに合った様々な作業を行っています。
あそびのむしセットの箱詰めのような、外部からの受託に加え、刺しゅうや布製品の制作、コーヒー焙煎など、自主生産の作業もあります。こうした製品は都内のイベントなどで販売されています。中でもコーヒーは、人気商品として定着しています。」

窓には、園のイベントの際に描かれたコーヒーメニューが
そうした多岐にわたる作業の中で、あそびのむしの作業についてはいかがでしょうか。

白石さん
「あそびのむしの箱詰めは、利用者の中でも比較的幅広い方が関われる作業です。
以前、この取り組みが新聞に掲載されたこともあったので、作業を担当する方たちにも紹介しました。
『この箱のおもちゃは、難病を抱える子どもたちが使うんだよ』と、この作業の意義を説明したんです。」
小茂根福祉園で、おもちゃの荷詰め作業が始まりました!
(2020年11月19日第1弾配布)


白石さん
「扱うものがおもちゃなので、皆さん興味を持って、楽しそうに作業していますよ。
箱詰めの前に、商品の不備に気づいてくれた方もいました。
間違えないように、しっかり商品を見ているから気づけたのだと思います。
私自身は、前回の第2弾の時から担当していますが、『こんな取り組みがあるんだ』と感心しました。また、普段あまり目にしないおもちゃにもわくわくしました。木のおもちゃなど、電池を使わないシンプルな遊び方のものが多いですが、見た目にも楽しそうで魅力的ですよね。」

作業を見守る白石さん
箱詰めを担当する方たちも、白石さんも、おもちゃの魅力を感じてくださっているようで嬉しくなりました。
小茂根福祉園では、「利用者の一人ひとりが、かけがえのない個性豊かな社会の一員として『私らしく』住み慣れた地域で普通の暮らしができること」を掲げ、支援を続けています。
一方、あそびのむしは「病気や障害があっても、その人らしく好きなことに夢中になって過ごしてほしい」という願いを込めて、おもちゃを届け、遊び方をサポートするセミナーなどを開いています。
どちらも似たことを目指していることがわかり、小茂根福祉園の皆さんと協力して、あそびのむしセットをお届けできることには大きな意義があると、改めて思いました。
小茂根福祉園の皆さん、これからもよろしくお願いいたします!

建物入り口では、たくさんの箱が出荷を待っていました